給料の賞与化
2026年01月28日
以前にとり上げた「初任給の上昇」のコラムとも重複する部分がありますが、ソニーグループが2025年から冬のボーナスを廃止して、毎月の給与と夏のボーナスに振り分け加算することを発表しました。これは最近大企業を中心に取り入れられている給与制度改定の動きと軸を一にしており、簡潔に言えば新入社員初任給引上げを、給与原資を大きく引き上げずに実施する施策の一環と見ることが出来ます。編集人が人事管掌役員をしていた頃は総額人件費管理と言う考え方が主流でありましたが、形を変えた新たな人件費管理の流れが広まっているのだとも読み取れます。
しかし昨今では黒字の大企業でも希望退職制度を実施しており、50歳代だけでなく30歳代をも対象としている例が見受けられます。つまり業績悪化が直接的な理由ではなく、人件費と言う経営上の固定費を下げるタイミングを計っている企業が多いとも言えるでしょう。そのような環境下で新入社員の初任給を引き上げるために、賞与制度はあくまでも業績連動部分だけとして残し、賞与の固定部分を月額給与に加算する方法を採用したのだと思われます。もっと細かいことに言及すれば、社会保険料の会社負担部分を減らすことにも繋がるため、結果的に将来の年金等にも影響してきます。
社会保険料負担には月額給与に上限が設けられているため、比較的高所得者が多い大企業では上記のような施策も経費削減面で効果を発揮する一方、中小企業で月給が70万円以上となるような方は少数派です。ここで70万円と申し上げたのは、厚生年金保険料の標準報酬額が段階的に75万円程度まで引き上げられることを前提としたものであるためです。そのように考えると結局はどこかで経費削減をしなければ日本の勤労者全体の所得水準を引き上げていくエンジンにはならないと考えられる訳ですから、今後社会保険料上昇が見込まれる中では就業構造自体が変化していく可能性が高まりそうです。



