オフィス鴻

続ワーキングホリディ

2024年06月29日

円安傾向とコロナ禍が収束に向かう中で、出稼ぎを目的としたワーキングホリディ制度を利用して渡航する方が増えていることは前回のブログでご紹介しました。そもそもワーキングホリディ制度とは、受け入れ国の文化・生活様式等への理解を深めたり同世代等との交流・留学等をしながら、滞在期間中の学費や生活費等を稼ぐために労働が許可されているものです。一方、コロナ禍後に急速に人手不足の緩和が進み始め現地の物価高に加えて労働市場環境が求人から求職過多へと変化することで「出稼ぎ」目的なのに現地で採用してもらえず、現地で生活資金不足に陥る方も増加しているようです。

また、日本側の紹介窓口となるエージェント会社は、留学先となる現地学校ワーキングホリディ専用の授業プログラムやエージェント手数料ビジネス等を総合的に判断して留学先を紹介するため、元々は出稼ぎと言う概念は殆どなかったように思います。その他にも、専用ビザ発給が必要でありエージェントが現地での生活サポートまで完全にフォローしてくれるケースは稀だと思われますから、海外での経験を生かして今後の働き方の選択肢を増やすといった明確な目的がない渡航でも対応しているのが現状だと思われます。さらに他国での生活となりますから、相応の事前準備(特に金銭面)や情報収集も十分に行わないままでの渡航はあくまでも個人責任の範疇とは言え、犯罪行為に巻き込まれたり最低賃金を下回る劣悪な労働環境で本来の目的が達成できないなどのマイナス面もリスクとして把握しておく必要があると感じます。

なお、外務省の資料によれば、日本とワーキングホリディに関連する協定が締結されているのはオーストラリア・カナダなど29の国・地域だそうで、国が渡航禁止している紛争地に乗り込んでいって誘拐され、結果的に国が身代金を支払った(真偽のほどは定かではありません)、殺害されたことも実際に起きています。現地の日本大使館・領事館では邦人保護の観点から助けを求めることはできますが、原則自己責任であることはしっかりと肝に銘じておくべき様に思います。