オフィス鴻

続・産業医の意見書

2024年10月21日

編集人は前勤務先企業の本社産業医とは職務上面識がありました。最終的には会社が判断しますが産業医が作成する意見書の中で「復職可能性の有無」「勤務の制限」は直接従業員の生活基盤(退職で生計が維持できない可能性が高い)に影響が出るため、従業員にとっては主治医の診断書(多くの場合、一定の条件付きで復職可能と記載されます)よりも重い意味があります。ただし、産業医が全疾患に対して専門性を有していないことから、色々な状況証拠(出退勤・業務特性)や従業員の報告(通院・服薬・完解見込みなど)を基に意見書をまとめていきます。編集人の場合、当初は疾患名(自己免疫介在性脳症)すら判らず、症状が出た時に企業側から多くの支援をして頂くことができましたが、偶々産業医の家族に脳神経外科医がいらしたため幸いにも本音ベースで相談できました。

そのため、難病で完解が叶わないと判明した時点(日本で臨床例が数例しかない)で産業医から就業不能との意見書が出されたときも一種の達観したような感覚があり、産業医の意見書に対して異議を申し出ることはしませんでした。ただ、人事部門責任者のメールや言動に明らかな労働法違反が複数あり、所管の労働基準監督署に匿名で事前相談をしたところ違法行為に該当しますとの回答を得たため、万が一の時にはその後同じような違法行為が減るように実名で通報するところまで準備しておきました。そして、職務上経営トップのすぐ近くで仕事をしていましたので、経営者への恩義だけは忘れずに行動することを心掛けていました。

会社から休職命令が出された時も人事部門に対して色々な故意ではない違法行為について指摘しましたが、ここで注意すべきことは従業員が会社(産業医)の指示を守っていなければ休職期間満了後に自動退職となる可能性が非常に高いことです。日常生活記録の作成、毎月1回の病状報告書提出などを怠れば、例え労働審判や訴訟でも従業員に不利に働くことは知っておくべきでしょう。