農園での障害者雇用
2023年12月10日
以前のブログにも取り上げましたが、農園での作業を企業から受託し障害者雇用の法定雇用率に算入する「障害者雇用代行ビジネス」が国会で取り上げられたことを受け、厚生労働省が実態調査したところ、利用企業は1千社以上、農園91か所(事業者23法人)、就業障害者は約6千人であることが判明したそうです。厚生労働省では障害者雇用率自体が目的化された運営には懸念を示しながらも、ガイドラインを策定して事実上公認した形となったようです。
障害も軽度から重度なものまで、また一般的には理解できない不適切な行動をとる障害者もおり、そのマネジメントには障害特性を理解することが必要だと一般社団法人日本障害者雇用促進事業協会(6社で40%のシェアを占める)を設立した小倉氏の言葉が本質を的確についているように思います。特に「社会の役にたつこと」「できたということ」「評価してもらえたこと」が働く障害者にとって重要であることや、処遇面等から障害を隠して一般就労を選択する方も多く、企業側も障害者専用の業務の切り出し・担当者の配置などから解放されることが大きな背景にあると思います。また、編集人がハローワークや障害者用就職サイトで障害者可(オープン就労)の求人を検索しても事務系フルタイムで年収200万円台が殆どで、一部の障害基礎年金や障害厚生年金3級受給者でなければ、一人暮らしは金銭面でも難しいように感じます。
ただ、情報の正確性は定かではありませんが、障害者が育てた農業生産品は市場に出荷せず廃棄する事業者もいると聞きます。むしろ、義務教育・高校の給食無料化に向けた原材料としての活用なら1食当たりの原価が決まっている入札制の弱点(物価高、倒産・撤退等)を補完できますし、既に実施されているかも知れませんが、子ども食堂やフードバンク等への寄付・安価提供などの選択肢もあると思います。行政側も間接的に生活弱者保護ができる点も一考に値するでしょう。