オフィス鴻

退職代行ビジネス1

2024年08月09日

退職代行ビジネスとは、様々な理由から会社(上司)に直接退職の意思を伝えられない場合に、弁護士等のアドバイスを受け当該依頼人が一切関与することなく退職手続きを進めてくれるものです。最近は新規参入事業者が増え、また企業側にもその存在が知られるようになりました。概ね3万円程度の料金で労務トラブルに至らずに済むことから、利用者も増加傾向にあるようです。退職理由は人それぞれですが、退職を申し出ることに躊躇した場合(ハラスメント等)に、会社の誰とも話す必要がないサービスですから、第三者から申し出があれば流石に企業側も何らかの対応せざるを得ないのが現状でしょう。

編集人も人事部門を管掌していた時期には年間数%の退職率ではあったものの、退職理由を明確に把握することは非常に難しいことでした。本来、企業(雇用主)と労働者(従業員)の立場は雇用契約が成立していれば対等だと言われていますが、労働者(従業員)が法律を知らないケースが殆どで退職時のトラブル(貸与品の返却、業務引き継ぎ等)に発展する場合も少なくありません。ブラック企業という言葉もあり、心を病んでしまってからではその後の就職活動にも影響が出ますので代行ビジネスを利用するメリットも大きいでしょう。

ただし、企業側(人事部)も転職採用時に前職企業に退職理由や職務内容を教えてもらうこと(もちろん、教えてくれない場合の方が多いです)も一般的になってきましたから、自分勝手な理由で安易に退職代行サービスを利用することは、デメリットもあることを理解しておくべきだと考えています。民法627条では二週間前に雇用契約解約を企業に申し出れば、業務多忙や就業規則の定めに関わらず退職(有期雇用は同628条を参照)できますが、当事者側に過失があった場合には企業側から損害賠償を求められることもあります。したがって、パワハラ・嫌がらせ等以外の原因であれば、普段から証拠(勤務記録を残しておくなど)を集めておくことが大切です。