オフィス鴻

退職金への課税

2025年08月14日

NHKが実施した世論調査(調査内容は正しいことが前提)の中では、「雇用の流動化」「税制改革」に対して内閣支持率が変動している様子がうかがえます。これまでも感情論だけでは社会保障政策の抜本的解決には至らないという編集人の考えを述べてきましたが、一部には退職金税制を見直す動きもあるようです。現在80歳近い高齢者の世代では定年退職で退職金を貰い、その後は夫婦で豪華な海外旅行をするなどが一般的に行われていました。また退職金への税率は勤続年数と基礎控除によって人それぞれ異なりますから、単に老後資金として捉えている方も支給金額によっては課税されています。

しかし退職金を永年勤続のご褒美として受け取るならば課税がされても当然のように思われますし、賃金の後払い分として考えるならば税率も低く抑えられ優遇されているのが実態です。最近の企業(スタートアップ等を含めます)では退職金制度を無くしてNISAなどへと誘導したり、年俸制にして退職金込みの報酬にすることでB/S(貸借対照表)の負債の部を軽くすることは経営施策として当然の成り行きのように感じます。問題は課税水準に達しているだけの退職金を受け取る方がどのくらいいるのかという観点が余り報道されていないことにあるようです。

編集人も慰労金(所得上は退職金扱い)に対して約10%の課税が行われた経験がありますが、最終的には確定申告により納税額の半額程度が還付されました。それよりも痛かったのは年金基金が解散してしまったことで、年間50万円近い収入を見込んでいたアテが外れてしまったことです。編集人の母親も亡父が支払っていた年金を遺族年金として受給しており、少し制度は複雑ですが受けることができる制度です。人によって受給額は異なるものの一生涯支給される訳で、損得勘定だけで考えるのは少々ナンセンスなのかも知れません。少なくとも納付額によって受給額が変わるため、自分勝手な理屈は通用しないのは当然のことだと考えています。