オフィス鴻

隙間時間と言う労働力

2024年02月10日

隙間時間などを活用して、単発で自由シフトで勤務ができるスポットワーク型のSNSアプリ利用者が拡がっています。特に宿泊業・飲食業では人手不足を補うため、面接なし・経験不問・短時間・1日のみ可など、新たな働き方の形ですが、同じような人手確保策として地方観光地の「おてつたび」という仕事の報酬と旅行を組み合わせた手法も注目を集めています。編集人は背に腹は代えられない状況にある業界での取り組みとして考え方自体には賛成しますが、一方でサービスレベルの維持、会社員の副業規程との関係、報酬と宿泊費用の会計処理、源泉・社会保険料徴収等の面でのIT化の必要性があるなど、まだまだ法整備を含めてクリアすべき課題は多いと考えています。

現在の日本の労働価値(年収等)を海外諸国と比較する上で最も優先すべきことは、世界との競争の中で報酬に相応しい価値を生み出した場合の適正・公平な賃上げ(労働条件改善を含む)であると思っています。一方で、現在の日本企業の多くが直面する生産性の低さと利益の少なさを考えると、副業的なすきま労働で収入不足分を補うという選択肢はあるにせよ、社会貢献や知識・経験・技術等の価値を金銭的価値として提供するスキル・タスク型の方が長期的視点で個人の成長に繋がる本来の副業のあり方のように感じます。

また、マッチングサービスビジネスの前提として、当然ながら受託する個々人が責任ある行動をすることが求められますが、例えば雇用契約である場合には業務不履行(当日のドタキャン)や未経験ゆえの労災事故、顧客とのトラブル、賃金未払いリスクなど以外にも雇用契約自体が締結されずに労働するケースもありえます。また、業務内容、責任範疇、納期、報酬などに特に個人的人脈による受託では、企業間取引とは異なり気持ち良い仕事にしていくための努力は欠かせないでしょう。そのほか、業務委託契約書が締結された場合であっても、海外企業との取引(日本法人以外)では海外からの入金に対する金融機関等でのマネーロンダリング対応や商慣習の違いなども認識しておくべきだと思います。