オフィス鴻

障害者への合理的配慮

2024年08月04日

今年4月から改正障害者差別解消法により、「合理的配慮」が義務化されたことは過去のブログでお伝えした通りです。編集人も身体障害者(2級)であり、日本国内で殆ど臨床例のない難病を患っているため、徐々にですが身体の様々な機能が低下してきているのを感じます。実際に障害も多種多様であり、全く同じ病名でも「合理的配慮」の内容は個人ごとに異なる対応が必要だと思われ、雇用者側にとっては非常に難しい面があることも十分理解できます。最終的にはケース・バイ・ケースで対応することが雇用者・被雇用者にとって最も合理的な選択だと考えていますが、ちょっとした工夫とコミュニケーションがあれば少しずつ法の主旨に適うように出来ると思います。

最近では、パラリンピック・公共施設などで様々な障害があることが認知されてきましたが、障害を持つ方(特に精神疾患)の中には障害そのものを企業側に告知せずに働きたいという切実な思い(一般採用枠)があることも事実です。そこには、障害者雇用枠での就業では収入面の不安がある(殆どの求人が正社員でも最低賃金に近い)ことがネックとなるケースが多いとも聞き及んでいます。そのため、少々体調が優れなくても無理して業務をこなす必要があると考え、企業側としても法の主旨とは少し離れた現実(障害があることを知らない)に対応することになります。また、飲食店等でも建物の構造等から車椅子を使用している方への接客が難しい場合もあり、一律に法律で線引きするのが難しいため合理的配慮をしてくださいというのが実際の落としどころのような気がします。

特に就業に関しては障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられる中で、障害者側にも「このような配慮をお願いしたい」という意思表示が大切になります。企業側が過重な負担を強いられるような配慮(要望)を求められた場合でも「出来る範囲で対応する」ためには、先述のコミュニケーションが重要だと思われます。いずれにせよ、お互いの心遣い・気配りがあれば、乗り越えられる内容だと思います。