オフィス鴻

雇用型副業の事務負担

2024年07月28日

編集人が子会社経営管理をしていた時に、現場事業所から人手不足のため副業で1日6時間程度働ける人材を募集したいとの要望が上がってきました。当時、副業解禁のムードが様々な企業に拡がっていた時期でしたが、そもそも応募者が副業したい目的が収入(金銭)なのかスキルアップなのかで各社の対応が異なっていたように記憶しています。編集人も人事労務担当と2名で殆どのHQ(バックオフィス業務)を廻していた時期でしたが、業務内容の関係から「業務委託契約」は締結できないことが判明したため、労働法に基づく様々な制約条件を調べたところ、想定以上に複雑な制度設計が必要であることがわかりました。

まず、現業部門では到底管理できない運用が必要になるだろうと想定していましたが、案の定(というか想定通りでしたが)人員不足の原因すら把握できていない事業所担当者に概要を説明しても「人手が足りない」と繰り返すだけした。その上、これまで指導してきた内容さえまともにできていないのですから、後日トラブルが起こるのは火を見るより明らかだと経営陣に説明した上で、担当部長が全責任を負うことを条件にするならと試験的に始めることとしました。結論から言えば、応募者・事業所管理者共にウソをついていることが多数判明したのですが、副業の是非より普段から信用のない管理職の教育が優先だと改めて感じた次第です。

最も苦労したのは、甲欄(メインの勤務先)の企業での就労実態が把握できないこと、乙欄(副業先)の企業では時間外勤務割り増し分(25%)を上乗せする必要があること、甲乙間の通勤時間も含めて拘束時間に含める必要があること、労災保険は勤務実態で計算されるため減額されることなど、いわゆる労務管理の煩雑さでした。また、万が一に備え甲欄の会社に勤務実態を確認する必要がある時には承諾する・就業規則で副業が認められている旨の念書を応募者に提出させていましたが、実際はそれらを正確に把握する術はありません。これから検討する企業の参考になればと思います。