70歳以降の就労
2023年12月23日
2022年の厚生労働省の調査では、65歳超定年企業が全体の約1/4、さらに70歳以上でも雇用する企業は40%近くあるそうで、特に建設・小売・介護福祉・飲食・運送・宿泊業では全雇用者に占める65歳以上の従業員数が10.6%と過去最高(約600万人)となったとしています。生産年齢人口(15~64歳)の減少だけでなく、賃金面を含めて日本で働く魅力が乏しくなった外国人労働者の減少、女性の限定的な労働参加(短時間労働など)、身体的負荷業務の高い肉体労働の敬遠は、自動化投資などで補えない業務も多数あり、企業差・個人差はありますが「安全に働いて仕事を続けたい高齢者」が低賃金で危険な業務につかざるを得ない状況も増えているように感じます。
労働者の心身の安全を守るうえでは、生産性向上を求める一方で無理な働き方をさせないことも重要であり、単純に人手不足により賃金を上げる(最低賃金を含む)ことで人材補充を考えるよりも、就労希望者の実態に即した多様性のある働き方に対する就労形態と賃金水準導入が、持続的社会維持への今後の大きな課題でしょう。編集人が立ち上げた事業会社では、60歳定年後もトラブル・事故を発生させない限り、同じ労働に対してそれまでの給料が下がることはなく、逆に正社員の給与改定に合わせて同額を賃上げする仕組みにしました。また65歳超でも70歳までは同様の仕組みを導入しており、同業他社に比べて人手不足の解消に大きく貢献したと思っています。
それ以外でも企業として最もリスクが高い従業員の死亡事故・労災を減らすには、やはり職場環境を健全な状態で維持・向上させることに尽きます。また、これからの生産年齢世代に対して年金問題などの社会保障制度や税金の歪み問題を改善するには、批判の高い議員の物見雄山的な海外視察は一刻も早く廃止して、超党派による現実的な解決策を正しい日本の歴史・政治への認識や海外の事例から学んでほしいと思います。