オフィス鴻

カスタマーハラスメント

2025年08月30日

カスタマーハラスメントの加害者は中高年齢者に多いと言われますが、その背景を理解できなければ根本的な解決を得られる訳ではないと考えています。具体的には社是・経営理念などに顧客第一といった思想が多く含まれており、それが絶対的な価値観になり得るかを再認識すべき時期に差し掛かっているのだと思えるのです。実際編集人は身体障害者であっても通院時など病院内等で移動する時があり、これまで何回も中高齢者が医療従事者に対して繰り返し同じことを聞く場面(順番はまだか?何時間待たせるんだ!)に遭遇しました。本人に悪気はなさそうですが各人の価値観の差だと感じています。

もちろん暴力行為に及ぶことは稀だと思いますが、過去の体験と現在の相互認識の差が不満の一因にあるように思われます。もう少し柔らかく表現すると、過去に受けたことのあるサービスを基準にしている中高年者が、目の前にあるサービスとのギャップをカスハラとして表しているのだということです。そこに労働力不足と長時間労働、職場環境の悪さなどが加わると、従来提供されてきたサービス水準を感慨深く思い出すカスタマーが増えていくことになるのでしょう。昭和時代には「お客様は神様です」という三波春夫の決まり文句がありましたから、日本の当たり前の風潮であったように思われます。

最近の飲食業ではサービス力の低下を招く原因の1つに、ワンオペ・24時間365日営業・従業員による炎上動画拡散などが挙げられています。つまり直接的なカスタマーハラスメントではないにしても、助長するような風潮が蔓延してきたこともあると考えています。最近のインバウンド訪日客によって社会的構造の欠陥や疲弊が指摘されることもあり、特に疲弊は現場で起きていることを鑑みれば、新たな視点で働く方の価値・無理なく働ける環境整備などが大切になってきているのです。これからは新しい日本の社会構造が試される時代ですから、俯瞰的視点で日本の社会を見ていきたいと思います。