オフィス鴻

スタートアップ健保

2024年08月08日

若手社員が多い企業が現役世代高齢者の医療費を支える構図にある中小企業が中心の全国健康保険組合(協会けんぽ)から、独自の健保設立(VCスタートアップ健保・関東ITソフトウェア健保など)により従業員の保険料負担を軽くしたり、福利厚生面での充実を図るのが目的と言われています。今から約10年前は健保料率は約7%前半であったと記憶していますが、現在の協会けんぽは10%(一般健保で9%台)を超えており、高齢者医療費の負担に耐え切れずに解散する健保や基金が後を絶たないようです。編集人も、約15年間勤めた年金基金が突然解散を決めたため、本来ならば年金に上乗せ支給される予定であった年額にして約50万円以上の年金が、数十万円の一時金支給で強制的に解散されたことがあります。

しかし若年層の社員が多い業界にとっても、いずれは加入者が齢を重ねていくわけであと30年もすれば、単に負担料率軽減を目的としているならば同じような現実に直面することも懸念されます。厚生労働省の試算でも後期高齢者の医療費は納付保険料額の約9倍、現役世代は0.5倍前後だとされています。このコラムでも医療費に関連する内容をこれまでも取り上げてきましたが、実際に健康保険限度額認定を使用すれば、1ヶ月あたり最大数万円程度(3割負担分)で医療を受けられます。

実際に入院して気付いたことは、三次救急病院(大学病院などの高い専門性が必要な疾患)で明らかに緊急性の認められないような入院患者(特に急性期でない高齢者)が無償の病床の7~8割以上を占めていること(診療科によって割合は異なります)で、有料病床は比較的若手・中年層の現役世代が手術後数日~2週間程度で退院していく現状でした。病院側もある程度病状が安定すればリハビリ病院等へ転院してもらっていますが、中には頑なに断る患者・家族も実際にいるのを目にしました。最終的には、一人一人が医療費抑制に協力する以外に現公的保険制度を維持することが必要なのでしょう。