オフィス鴻

ビジネスモデル転換

2024年08月20日

長らく実質的なゼロ金利政策が続いてきた日本ですが、銀行では最近になって住宅ローン金利や預金金利が物価上昇率には遠く及びませんが少しずつ上がり始めています。その一方で、ATM機器の削減・他社との共同利用、支店の統廃合、投資信託の販売強化などの収益改善施策が進められ、昨年度の決算では大手行を中心に空前の好決算となりました。編集人宅でも多額の入金があると、必ずと言って良いほど当該金融機関から電話がかかってきて、投資信託等の購入を勧誘されます。これまで約30年間近く低金利政策が続いてきた影響で、優秀な銀行員と言えども経験したことのない金利のある社会へと近づいているように思います。

一方、ネットバンキングの普及で取引実績に応じて手数料の無料化(月10回程度まで)と優遇金利(大手行と1桁違います)が適用されるため、銀行窓口で待たされることも殆どなくなりました(事前ネット予約制も増えました)。また、今年7月からは日本銀行券(現金)の新券発行が始まりましたが、中小事業者が券売機等で使用するシステム更新費用(1台あたり50~100万円前後)の負担軽減面から、キャッシュレス化を進める企業(飲食店等)にとってもカード利用手数料の負担と天秤にかけている状態のようです。クレジットカード等も銀行系列会社が発行しているものが多く、最近ではポイント付与されるものまで誕生してきました。

これまでは一部業務を除いて殆どなかった銀行の即戦力中途採用(報酬が数千万円台のこともあるようです)も始まっており、時代の変遷を感じます。そのうち、殆どの業務はAI技術で対応できるようになると、店舗・行員自体も更に集約化・選別化が進み、ハッカー対策などから銀行の施設とはわからないような建物の中で様々な業務が行われることが更に進んでくることでしょう。つまり、ダーウィンの進化論がその環境に適した変異をもった者だけが存続する生存競争がより複雑化かつ熾烈になり、弱者淘汰が必然の世の中には一抹の寂しさを感じます。