フランス国民議会選挙
2024年09月30日
7月に行われたフランスの国民議会選挙(決選投票)で、左派連合の「新人民戦線」が最多議席を獲得、マクロン大統領の与党連合が2位になり、大方の予想では優勢が伝えられていた極右政党「国民連合」の支持は伸び悩んだと伝えられています。もともと左派支持者はフランス国内でも少数派と言われ、移民政策や年金受給年齢引き上げによる経済への影響やマクロン政権のやや強権的なやり方に対して、バラマキ感や財源が不明瞭な点はあるものの、有権者は自分たちの生活の質を高めてくれる政党を選択した結果となったようです。
また、イギリスでも労働党が圧勝し、10年以上に及ぶ保守党政権が退陣しましたが、EU離脱、スコットランド独立運動、テロ・ロシア問題、コロナ禍など厳しい政権運営が求められたこともあり経済成長の必要性が最優先課題として引き継がれていくことが予測されます。一方、日本では未だに政治資金問題はなかったことにするような関係者不起訴処分が行われ、都知事選でも小池氏が自民党の実質的支援を受ける形で3期目の続投となりました。ただ、様々な課題があったにせよ60%を超える投票率だったことは政治に対する関心を持った有権者が増えていることの証でしょう。与党自民党は来年秋に予定されている衆議院選挙(解散もあり得ます)を睨みながら政権運営していくと思われますが、最近の株高基調や円安等による好調な企業業績での税収増などを受け、既得権益に驕り国民に更なる負担を求めたりバラマキに終始するのか、あるいは将来を見据えた新たな施策を打ち出すのかは有権者の判断に委ねられることになるでしょう。
ドイツでも極右政党が躍進しておりヨーロッパ諸国の中でフランスの外交・安全保障に対する影響力が低下することも含めて、日本への影響は避けられないと思われます。そこに、今回の選挙でカギを握っていた極右政党「国民連合」に対して、当局が不正資金疑惑で捜査を始めたそうですから、大躍進(88~143議席)の陰には様々な駆け引きがあるようですね。