モラルのある経営
2024年03月15日
近畿日本ツーリスト社は、編集人の学生時代には非常に人気の高い企業の1つでした。その企業が「新型コロナウイルスワクチン接種に係る業務」のうちコールセンター業務で約定数を下回るコールセンター員数・時間数で架空請求して、数億円の水増し請求が行っていました。また、旅行業界では経営難を乗り切るためにJTBは資本金を1億円(税制上、中小企業とみなされる)に減資することで、繰越欠損金と法人事業税(外形標準課税)負担の軽減策を講じました。そのほか、航空業界ではスカイマーク社は2020年に同じく1億円に減資、2022年には新興企業向けの東京証券取引所「グロース市場」へ再上場しています。
両社以外でも、飲食業のカッパ・クリエイトやチムニーが1億円への減資を行っており、新型コロナウイルスの感染拡大による観光・外食需が激減が、構造改革を進めざるを得ない状況にあることが鮮明になってきました。大企業が資本金を1億円以下にすること自体は合法であり、コロナ禍で業績が悪化した航空や旅行、飲食業界などが止む無く選択した側面が強いように感じます。ただ、某大手広告代理店等を経由した受託・再委託を含め、各地で新型コロナ対策に係る不祥事(福島でのアベノマスク問題はどこえやら)が相次いでおり、救済を名目に一部の飲食業界(個人事業主を含む)だけでなく、一部の日本企業の倫理観自体が欠落してきた印象が残ります。ただ、もともと企業継続力のない企業への支援は政治的意図が含まれており、投入された多額の税金はこれから国民が増税と言う形でツケを払うことになります。
訪日外国人の増加や、国内旅行への消費(オーバーツーリズム気味)の企業業績が徐々に回復基調に戻りつつある中で、楽天子会社横領事件、過去の会計不正(ジャパンディスプレイ(JDI)の「経営陣の指示で過去に不適切な会計処理を行っていた」など)の表面化が相次いでいます。今後は、新たなビジネスモデル創造に日本人として大切に受け継がれてきたモラル(精神)が生きるよう祈るばかりです。