オフィス鴻

ロシアと航空機リース

2024年10月14日

2022年にロシアがウクライナへ軍事侵攻してから約2年が経ち、未だ紛争を続けるロシアに対しては世界中から経済制裁が行われています。その影響の1つとして、他国企業からリースされた500機もの航空機を強引な手法(国内法改正)で自国の所有物とした接収行為は、世界中から大きな非難を浴びると同時に整備用部品の供給がストップしているため、いずれ安全性確保にも支障が出るだろうと想定されているそうです。そのため、国際線の大幅な減少で余剰となった航空機から部品を転用したり、裏ルートで正規品を扱う企業が暗躍している可能性が指摘されています。

元々、ソ連時代からスーホイやツポレフと言った軍事・民生航空機を製造するメーカーがあり、航空機産業は国内で調達された部品を使って製造されています。しかし、アメリカのボーイング社、カナダのボンバルディア社、EUのエアバス社からリースされた機体も多く、これまで以上に機体トラブル以外にも遅延・欠航が発生するリスクは高まると考えられています。また、直接リース航空機が関係してはいませんが、ロシア上空の飛行が制限され日本からヨーロッパに向かうルートが北極圏を迂回することになりました。ウクライナ紛争以降上昇傾向にあった原油価格は現在1バレルあたり70ドルまで下落していますが、時間・燃料共に余分に必要となり一部の航空会社では減便も実施されています。

そのような状況下で、9月には伊藤忠商事が中古航空部品を扱うアイルランド企業に出資することが日本経済新聞で報道されました。退役した機体を解体して再利用可能な部品を再整備して各国の航空会社に販売するビジネスですが、アメリカボーイング社のB737-MAX機の不具合が多発して新規納入が遅れており、今後10年で約2倍の市場になると予測されているようです。その点ではESG(環境・社会・ガバナンス)の推進を企業が進める上での成功事例となり、日本企業が機体保守市場への参入することも予測されています。