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人口ボーナスの終焉

2024年03月20日

人口ボーナス (demographic dividend)とは、新興国が特定の人口構成(豊富な労働力の供給)によって「奇跡のような経済成長を遂げる時期」があることを指します。反対に、生産年齢人口割合低下が経済成長の妨げになる現象を人口オーナス(onus)と呼び、日本も1960年代の高度経済成長期には人口ボーナス期を迎えましたが、現在は超高齢化社会で人口オーナス期にあり、各業種での人手不足の一因ともなっています。

一般的には、新興国の人口構成比は年少人口が圧倒的に高い割合を占めることが多く、出生率の低下は総人口における生産年齢人口の割合が高くなる時期を迎えます。豊富な労働力が経済活動を活発にさせ、教育・医療・年金などの社会福祉負担が少なくなり、余剰資金を新しいビジネスに回すことができるようになるため、経済成長を促す仕組みです。アジア諸国の成長の多くは、1960~1990年頃にかけてこの人口ボーナスの影響による高度経済成長の恩恵をうけていたとの学説があり、韓国と中国では1980~2020年頃に人口ボーナス期の恩恵を受けていましたが、「多産多死」から「少産少子」社会への移行期が過ぎ、経済成長力も低下しているようです。

もちろん、生産年齢人口増加と産業活性化の加速なしには、大きな経済成長に繋がるとは限らない点に留意が必要ですが、インドはIT大国としてのポテンシャル、公用語(英語)など、グローバルビジネスを発展させる土壌が整っており、中国の次にインドが経済成長期を迎える可能性は高いでしょう。東南アジア諸国の中でもフィリピンは2060年頃、タイとマレーシアは2050年頃、ASEAN全体では2040年頃まで人口ボーナス期が継続すると見込まれています。豊富な労働人口、安い人件費などから海外からの投資は活発ですが、現在の日本と比べて物価水準も高くなってきており、日本は新しい産業構造への変革が再浮上策の1つとなるように思います。