オフィス鴻

人口減少と新たな試み

2024年08月24日

2023年度の住民基本台帳による人口動態統計によれば、総人口は前年比で約80万人の減少となり、また全都道府県での人口減少は統計以来初めてのことだそうです。一部では人口減少が日本の将来を危機に陥れると報じていますが、2022年の出生数は77万人で緩やかな減少傾向とも言えます。もちろん超高齢化社会の中で生産労働人口の割合と絶対数が減少していくことには変わりありませんが、日本の産業構造自体が変容していくことで次世代の日本で労働生産性が高まることで、さまざまな変化が起きると思っています。

まず、コロナ禍で定着が若干進んだ在宅勤務(リモートワーク)は、鉄道ダイヤ過密化解消や時間帯別定期料金制度などを誕生させました。首都圏の日中時間帯の電車の本数は明かに減り待ち時間が5分以上増えましたが、空車に近い無駄な車両運行がなくなったことで電気使用量の抑制や乗務員不足解消にも役立ちますし、ラッシュアワーでの異常なまでの混雑による通勤ストレスが緩和されるなど、プラスの面も挙げられるようになりました。また、住宅地に関する法律では国土交通省が主に適正に管理されない空家等が周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼさないよう「空家等対策の推進に関する特別措置法」に加えて、財政支援措置及び税制措置を講じました。あくまでも需給関係によって成り立つ住宅問題ですから、地域によって差がありながらも適切な価格での供給物件が増加することも十分考えられます。

その他にも、教育や健康維持にIT・AIが活用されることが日常的な光景になったり、異常なほどのオーバーツーリズムが若干でも解消されれば、日本人の保有する金融資産の一部が地方観光等の消費に使われることで、さまざまな取り組み(SNS等での地方の魅力配信など)が脚光を浴びそうです。ただし、安易な考えで事業化することには反対ですが、多少の失敗は大目に見ていくことと他者への配慮が、これから10年程先の過渡期を経た日本の姿の一部になるように思います。