オフィス鴻

企業リスク管理の代償

2024年03月18日

芸能関係には疎い編集人ですが、芸能界でJ事務所が過去の犯罪行為で大激震に見舞われています。また様々な報道がされている中で、TV制作局側との癒着構造などが明らかになり、また所属タレントや過去の被害を訴える集団内でも分裂が起きています。当然、犯罪行為は断罪されるべきですが、所属タレントの中には「知らなかった(かもしれない)」といった自己弁護的発言や、謝罪会見で会社の代表が動画で説明を行うなど、デロイトトーマツにコンサルティングを依頼したとは思えないような対応に批判が寄せられています。さらに、コーポレートガバナンス不全や新会社のトップ人事などへの不信感も根強いようで、第三者調査委員会を設けて信頼回復に努めるには程遠いように見受けられます。

さて、不祥事により信頼回復が困難である企業は通常は自主廃業や倒産などに至るケースが多いのですが、会社資産は豊富で、またファンクラブ収入という付加価値が今後も続くことが想定されることから完全には企業価値がマイナス(借金に相当する債務超過状態)された訳ではなく、相応のブランド価値棄損はあるものの社名変更などを含めて何らかの方法で一部事業譲渡や被害者への救済(おそらく和解金でしょう)解散に伴う残余財産分配がなされるように思います。しかし、既に同事務所での犯罪行為を知っていることを隠して移籍・独立したタレントも少なからずいたと報道されており、訴訟になった場合には証言台に立つ可能性もゼロではないでしょう。

また、業界関係者やメディア関係者との対話を宣言した中でNGリストが流出したことは、今後タレント活動を続けていく方にとって、事務所側が「嘘の上塗り」をしていたことで更に状況を悪化させ、まだ嘘が隠されているのではないかという疑念がこの問題を大きく炎上させたのだと考えられます。一般的なビジネス取引においても、約束を守らない相手先とは取引縮小・中止・損害賠償請求するのが常であり、芸能界の異常性の一部を晒した出来事だと感じます。