余裕のない年金財政
2025年08月29日
表題には若干のギミック(言葉の仕掛け)があるのですが、実際には個人の価値観に基づいた生活水準を保つために必要な毎月の年金額のことを指しています。一般的に住宅ローンを完済した夫婦2人世帯で年金主体の生活をしていくときには、概ね月額28~30万円が目安とされています。しかし編集人と同年齢ではこれだけの金額を年金のみで賄うには共稼ぎでない場合には年間350万円程度となるため、殆どの方は現実的でない数値と考えられることでしょう。そのため様々な書籍やコラム等では、金額が少なくても良いので働けるうちは働き、必要以上に貯金を取り崩さないことが大切だとされています。
また60歳定年到達時時に支給される退職金も勤務先によって大きく異なり、住宅ローン等の返済に使ってしまえばご褒美旅行などで散財することも躊躇われるような状況です。ただここでどのような選択をするのかは健康年齢は男性で72歳・女性で75歳と言われていることを鑑みて、平均寿命(男性81歳・女性87歳)よりも短いことから老後の過ごし方を考えておく一助になりそうです。身体が動かしずらくなったり介護を必要とするようになれば、どんなに望んでも旅行に行ったりすることは難しくなるのが普通でしょう。つまり各人ごとの老後があるのだと認識しておくことが必要だと考えられます。
そして最近は年金の繰上・繰下受給が話題に上っていますが、それよりも深刻なのは厚生年金の財源から国民年金への流用方針だと言われています。ご存知の通り厚生年金は企業勤務者が労使折半で厚生年金保険料を負担したものであり、自営業者等が青色申告等で税制・社会保障面等での優遇を受けてきたことを考えれば反対の声が上がるのも無理なからぬことでしょう。その上で更に国民年金額が少ないとの理由で厚生年金からの流用を行ってしまえば、いずれ厚生年金の大幅減額や次世代への負担先送り感が強まることは否定できません。これが日本は社会主義国家だと揶揄される所以だと感じています。