オフィス鴻

免疫疾患治療の新薬

2024年08月02日

一般的に製薬会社が新薬を製造・販売するためには、数度の治験と監督官庁の承認を得るまでに多額の先行投資と期間を要すると言われています。当然すべての開発された新薬が市場に出回ることはなく、成功率は1%に満たないとされますが、一度特許を取り販売が開始されればLOE(独占販売期間満了)までは「ドル箱」として企業収益に貢献します。その後は、先発品から後発品(ジェネリック薬)に一気に切り替わるため、製薬会社にとって新薬開発は企業存続の生命線であるとも言えるでしょう。

また、患者数の少ない希少疾患やがん治療に有効とされる薬の中には、保険診療適用でも非常に高い薬価(ノーベル医学生理学賞;本庶京都大学特別教授の末期がん治療免疫薬オプジーボなど)の薬もあり、もし海外で承認されていても日本で保険非適用の自費診療ともなれば、患者の負担は非常に大きくなります。実際に、編集人も主治医に自費診療で使える薬が無いかと相談しましたが、金銭的負担面よりも治療効果が見込みずらいので、新薬が開発され保険適用されるまでは出来る限り悪化を食い止める治療とする方向で進めることとしました。ただし、最近のAIや医療技術の進歩により新薬が開発される可能性はあるものの、決して約束されたものではありません。

実際に現在使用している薬剤も血液製剤を中心にかなり高価なものが多く、約3~4週間の入院治療で薬剤費(診療報酬明細書を見れば確認できます)が優に100万円を超えることもあります。保険適用、高額療養費限度額認定制度で自己負担額は相当抑制できますが、国家予算の約3割を占める医療・社会福祉費を減らさなければ次世代に借金を残してしまうため、主治医と家族には延命治療はしないでほしい旨伝えました。特に自己免疫疾患ではまだまだ原因・治療法が解明されていないものが多くあり、製薬会社としてもビジネス化が難しい新薬開発には消極的であっても致し方ない気がします。