医療提供のありかた
2025年09月02日
編集人は50歳代になってから大病をいくつもしてきました。最初は脳梗塞から始まりガン全摘手術、自己免疫疾患、その他内臓腫瘍などで、現在は月1回の定期外来と年数回の薬物治療等を受けています。またそれまでほとんど無縁だった医療保険を使うことになり、入院費用等の心配が無かったことは妻のお陰だと思っています。しかし先般頭部打撲による脳挫傷によって生死をさまようような経験をしたことで、改めてこれからの人生を考え直す機会になりました。実際に意識喪失が数日間続いたそうで、妻は主治医から緊急電話がかかってきた際に「延命措置はしないで下さい」と伝えたそうです。
しかし主治医は人工呼吸器などを装着して治療にあたってくれ、現在編集人がこのコラムに寄稿できるのも主治医のお陰だと思っています。しかし退院後も新たな症状が発現しており、次に大きなケガをした際には覚悟をしてほしいと妻には伝えました。元々延命治療はしたくないと思っていましたが、医師の立場を鑑みると患者に最善の医療を提供することが務めであると考えるように変化してきました。ただし編集人の心の中には多額の医療費を使って治療を続けることへの罪悪感のようなものがあり、医師へ色々と相談する際にも膨張する医療費を考えながら最適な医療を受けるようにしています。
実際に3週間の入院治療では診療報酬ベースで100万円を超えることも少なくありません。同列に扱うのは難しいにしてもJCOG(日本臨床主要研究グループ)が国立がん研究センターとの共同研究でがん治療にかかる月間医療費を調べた結果、約6割が50万円以上、約2割が100万円以上かかっていて、その他にもオブジーボなどが一般的に使用される傾向があるとされています。またこの金額は15年前に比べて最大50倍になっている疾患があるとの試算もあるようです。命に対する考えは人それぞれですが、2人に1人ががんを患うことを考えれば命に貴賤はないものの費用対効果という視点も必要だと思われます。