オフィス鴻

医薬品の国際共同治験

2025年10月18日

日本に於ける治験は世界的に見て遅れているとされ、先に海外での知見を経て日本国内で承認されるケースが殆どだと言われます。そのため日本政府が国際共同治験や日本企業の製薬創造力といった目標を掲げることは、難病を始めとした治療の難しい疾患を抱えている患者にとっては新薬開発は大きな望みとなります。しかし治験はある程度の人体へのリスクを伴うことが知られていますので、効果ありきではなく安全性が最も優先されるべきでしょう。もう1つは希少疾患患者数が少なければ製薬会社にとっても開発費を回収することは難しく、社会保障制度の拡充も検討する必要がありそうです。

因みに編集人は自己免疫疾患(難病)に関する電子書籍を今年7月に発刊しました。実際に病名が判明する10年近くの期間に数多くの大学病院や医師の診察を受けましたが、やっと西洋医学的見地から患者や症例の研究が進んできた段階です。そのため治験の機会にも恵まれておらず、いわゆるドラッグロス(海外の医薬品が使えない状態)にすら及んでいないのが現状です。また多くの難病疾患では患者による支援団体があるのですが、編集人の疾患にはその団体すら存在しません。そのため患者・家族間での情報交換機会もなく、唯一大学病院の医師が頼りと言う状態が続いています。

このような背景には日本の厚生労働省が過去の未承認薬売買等の不正行為を防止するため、製薬会社等による情報提供の機会が少なく治験参加機会が極めて限られているといったことが挙げられています。実際に日本では承認されていない海外で開発された新薬は100種類程度あるようですが、実際に海外で治療を受けることになれば数千万円程度の費用がかかります。つまりクラウド・ファンディング等で渡航費用・治療費用を賄う方法以外では、一般的な家庭では個人で海外での治療を受けることは事実上困難でしょう。そして日本の社会保障制度(薬価)への影響も大きいものと感じています。