オフィス鴻

国連総会での一斉退席

2025年12月27日

国連総会でイスラエルのネタニヤフ首相の演説が始まる際に、多くの外交関係者が議長の制止を聞かずに一斉退席する様子が読売新聞のオンライン動画で配信されていました。そもそも現在の国連は主権国家ではなく、あくまでも第二次世界大戦後に戦勝国とされる国々が中心となって発足された機関ですから、加盟国それぞれの考え方に基づいた行動原則が反映された結果とも言えるでしょう。動画では会場内に大きな拍手やブラボーといった声が収録されており、ネタニヤフ首相の顔も幾分こわばったように見えるだけでなく、抗議のような音声(恐らく野次)も入っていました。

冷静に考えれば「各国によるガザ地区侵攻」に対する抗議の一斉退場と考えられ、事実上イスラエルに対して国連総会での孤立化が表面化した事例だと思われます。一般的に外交儀礼として鑑みればアメリカに庇護されたイスラエルの傲慢さ一斉退場として浮き彫りになったようにも感じますが、国際社会では様々な思惑で外交が繰り広げられていますのでアメリカ・イスラエルの直接的な非難は避ける形式を選択したと考えるのが妥当でしょう。しかし国家間の紛争は世界各地で勃発しており、特に思想・民族・宗教等に関わることは当事者でなければ正確には理解できないものだとも考えています。

若干事例は異なりますが、国際社会(特に外交)に於いては「沈黙」されることが最も相手国に対する制裁的意味合いが強い行為であると聞いた記憶があります。つまり沈黙とは相手国の存在自体を無視するに等しい行為であり、国家の信頼が崩れかけている時に起きるそうです。直近では大韓民国の上から目線での発言が東南アジア諸国を中心に拒否反応(反韓感情)を引き起こさせ、中国寄りの曖昧な姿勢がアメリカを激怒させた結果高関税が課された例もあります。国家も民族も同じように様々な価値観に基づいていますが、100年後の世界が平和であることを願う編集人です。