大学病院の研修医
2024年09月15日
企業に所属していると、いつのまにか他社では通用しない社内特有の常識感覚に戸惑うことがあります。時間が経つにつれ、あるレベルまでは組織のルールに従い妥協点を探ることに注力する方が組織に馴染みやすいのは確かですが、ごく一部の専門職を除けば本当に自分のやりたい事だけが仕事として与えられる訳ではありません。最近の転職市場の動向を見ていても、何かしらのアルゴリズム(キーワード等)で面接を確約する自動メールが配信されてくるケースが増えました。結局、多くの登録者の中から1人ずつの職務経歴書を読む時間はおそらく数秒~1分程度ですから、募集側の人事採用担当の立場からすればこの自動配信機能は時間節約には役立ちますが「採用スキルを獲得する・身に付ける」という点では大きな落とし穴があるように思います。
さて、大学病院に入院していると専門診療科の指導医・担当医に研修医が同行してくるのが普通です。編集人の場合は、日本で数例しか臨床例のない難病疾患のため年数回の入院治療が必要な場合もあり、一旦救急救命処置が終われば主治医(指導医)以外はまだ臨床経験の浅い医師(研修医を含む)が担当となることも少なくありません。もちろん、現在治療を受けている大学病院でも初の臨床例患者ですから、正直主治医でもわからないことが多くあります。しかし、難病治療・研究という観点で見れば、主治医を含めて新たな経験を積む機会であり、様々な症状から稀であっても疑われる疾患のことを学び将来の医療に活かすことに繋がると考えています。その中でも最も大切だと思うことは、些細なことでも患者の声に耳を傾けてくれる医師の存在です。
編集人は心臓の近くまでカテーテルを挿入する血漿交換治療を受けていますが、研修医が指導医の指導の下で初めての頸部大静脈切開・挿入・縫合まで行うこと(経験を積むこと)が多々あります。入院中は何かと不安を抱えますが、医師との信頼関係があればこそ辛い治療や入院生活にも耐えられるのです。