オフィス鴻

太陽光発電設備の廃棄問題

2024年07月14日

太陽光発電のFIT制度下(10年間の固定)では2009年に買い取り価格が48円、その後30円台前半の頃に設置・売電の大ブームが起きました。その後、徐々に買い取り価格が下がり、2023年時点では家庭用は11円、FIT期間満了後は8円前後です。また、資源エネルギー庁の資料によれば、廃棄等積立費用は1円/kw前後で、当時中国製が主流だった太陽光パネル等の施設廃棄には概ね1万円/kw程度かかると言われています。既存の設備維持にも費用は掛かりますし、徐々に発電効率が落ち、電力会社への売電も日によっては出来ないこともあり、今後多くの施設が廃棄されていくように思われます。

そのほか実際に設置申請だけして工事に着手しなかった業者(案件)も多く、昨年多くの許可取り消しが行われました。問題は、新電力と呼ばれる企業が乱立して過当競争が起きたり、中には倒産する事業者も出て来ていることです。また、40年以上経過した原子力発電所は廃止するという当初計画も60年まで延長されるようで、既に一部原発で再稼働が行われるなど、円安等による電気代金の高騰などが家庭や、さまざまな事業者にも影響が拡がっているのが現状です。東京都では新築建物への太陽光発電設備設置を義務付けたりと、電力行政については明確な方向性が打ち出せていないように感じます。

なお、福島第一原発の完全廃棄には約30年以上要すると言われていますが、日本の電力は2022年度で原子力発電が約5%、太陽光が10%、その他自然エネルギーが8%、化石燃料は70%弱(環境エネルギー政策研究所調べ)ですから、おそらく原子力発電(震災前は20%くらいだったと記憶しています)を再開しない限り、日本国民が僅かずつでも節電したとしても化石燃料の使用量は減少しないと思われます。ただし、太陽光発電設備の廃棄には有害物質も含まれた産業廃棄物処理が必要なため、新たな公害となる不法投棄、倒産等による放置が起きないよう行政の監視を強化する必要性を感じます。