小林製薬の紅麹問題
2024年11月04日
小林製薬が製造・販売した紅麹を原料としたサプリメントによる健康被害者が数百名となり、死亡者を出す大きな社会問題となって数ヶ月が経ちました。「あったらいいな」というニッチ商品を多く世の中に送り出し、独自の業界内ポジションを築いていた同社ですが、どちらかと言えば日用品主製造主体の企業としての立ち位置だった印象があります。原因は青カビの一種であるプベルル酸等の成分だったと指摘されていますが、編集人は主治医からサプリメントの副作用と品質面での課題が病状を悪化させる恐れがあるとして約10年前から全てのサプリメントを摂取しない様にしてきました。ドラッグストア等で簡単に入手できる他者を含むサプリメントは沢山ありますが、健康被害を齎すまだ知られていないものも流通している可能性は否定できません。
最近「予想外」「想定外」と言う言葉を耳にする機会が増え、日本製商品の品質に対する不安が他業界にも及ばないのか心配なところです。特に、中国人訪日客がドラッグストアで爆買いして転売していたインバウンド需要減少による業績への影響は必至ですが、一族無借金経営と言われる同社であっても危機管理面では某タレント所属会社と同じ道を歩む可能性があるかも知れません。しかし、そもそも「予想外のインバウンド需要」と「想定外の青カビ混入(報道された和歌山工場は、ここで医薬品を作っていたのかと疑う古い設備でした)」が同社のリスク管理の甘さを誘発したにしても、いち早く被害者への補償・治療と再発防止策を講じる企業文化を醸成することが企業責任であると思われます。
編集人もこれまで3人の創業者・経営者の下で仕事をさせて頂きましたが、外部から見えない様々な課題に対応することも多く、トラブル発生時にその方の本音が表れてくることを目の当りにしてきました。もちろん、複雑な事情が絡み合った中での対応が必要なことは理解していましたが、最後に勤めた企業創業者は必ずご自身の言葉で最終判断を伝えて下さり、今でも尊敬しています。