年金財政の改善
2025年10月23日
日本の年金積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF;Government Pension Investment Fund)は、2024年度の運用実績が海外の主要中央銀行の利下げによる海外株式値上がりが奏効して1兆7千億円の黒字だと発表しました。同機関の運用総額は約250兆円、国内債券・外国債券・国内株式・海外株式にはそれぞれ1/4ずつ均等となるように運用されており、25年間の市場運用利率は年平均4%(2024年は0.7%)となっています。
厚生労働省の資料によれば1年間の総年金支給額は老齢基礎年金(月額)が56千円(33百万人)、老齢厚生年金が143千円(16百万人)となっていることから、単純概算では平均125千円×12ヶ月×33千万人=49.5兆円と推測できます。編集人は年金財政のプロではありませんが、ここに世代間扶養の原則が適用されること、および運用収益に加えて最終的に概ね100年後に年金給付の1年分程度の積立金が残るような財政計画として進められているそうです。そのように考えると現役世代の相互扶養負担額が増加傾向にあることを鑑みれば、世代間格差是正施策なども正当性があると感じます。
そしてGPIFが運用する年金積立金は年金財政全体の10%を賄うとされていますが、運用実績が予測を下回れば100年経たないうちに財政は枯渇するであろうと容易に想像できます。問題はこれらの運用資産を大量に市場で売却するとなれば市場全体にマイナスの影響を与え、さらに国際情勢次第では含み損を抱える可能性があることです。つまりあくまでも現在の資産価値であって、将来にわたって元本が担保される訳ではないという厳然とした事実があるのです。因みに直近5年間で約100億円資産が増えていますが、いとも簡単に株価が下がることはこれまで日本が経験してきた通りですね。



