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社会保険料負担「30%時代」

2024年04月03日

日本経済新聞の1面に、2023年度の健康保険組合の平均料率が9.27%となり、介護・年金を合算すると29.35%と過去最高水準となるとの記事が掲載されていました。また、スタートアップ企業300社が連携して新たな健保を立ち上げ企業・従業員の負担を2%ずつ軽減させるそうです。現在の日本の社会保障制度は、現役世代の保険料の多くが高齢者への「仕送り(給付)」に充てられる歪な構造であり、健保組合と協会けんぽを併せた約6,800万人が負担する保険料の実に44%が高齢者医療費に充てられています。団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となる2年後には医療費がさらに嵩む(2025年問題)ため、保険料率を上げる方向性となるでしょう。また、2035年をピークに後期高齢者が減少傾向となるという試算もあります。

さらに社会保険料(企業が約半分を負担)と税負担を合算した40歳の「国民負担率」は今の75歳(1988年度)は37.1%、現役世代は46.8%となり、数字上からも「世代間格差」が証明された形です。政府や国が放置してきたツケを次世代に極力残さないよう、高齢者給付を適正水準にする施策見直しも当然含めて、社会全体で公平性の高い仕組みに作りかえていかなければ、現在の日本の社会保障制度は維持できない可能性が高いです。

なお、「異次元の少子化対策」実施では、児童手当・多子世帯支援財源(年間3兆円規模、3年間)のうち1兆円程度は公的医療保険料などの引き上げで捻出、残りの2兆円は社会保障費歳出削減や既存予算活用で賄う方針のようですが、年収の壁対策に税金を補填投入する案も出ています。最終的に国民1人当たり月500円程度の負担増となる見込みで、法人税、所得税(雑収入、配当)は歳入増加傾向にあることから、消費税増税は行わず当初2年程度は将来の歳入で償還する実質的な国民の借金として「つなぎ国債」の発行で財源手当することを検討していると報道されていました。