社会保障と消費税
2025年11月27日
消費税が最初に導入された1989年はまだバブル景気の真っ最中であったにもかかわらず、当時の自民党政権が将来的な少子高齢化等による社会保障費不足を国民全体で支える意図があったとされています。このコラムでは極力政治的な話題に偏重しないように編集人の率直な意見を述べていますが、当時のことを思い出すと既に1970年代から一般消費税として国民全員が幅広く負担することを前提に検討が行われていたものの、消費者や中小企業等からの猛反発もあって遅々として進展せず、やっと1988年になって当時の竹下内閣下で3%の消費税が導入されました。
それまでは物品税として奢侈品(しゃしひん)や嗜好品(しこうひん)といった生活必需品以外の贅沢品に課税されていましたが、消費税の導入によりそれまでの課税対象外となる取引・土地や有価証券の譲渡・社会保険医療・教育費といった非課税取引を除いた形で幅広く課税されるようになりました。その後は軽減税率制度・消費税率改定・益税(免税事業者)などの改定が順次行われ、現在は原則10%の消費税となっています。因みに当時の社会情勢では、1975年に出生率が2.0を割り込む一方で平均寿命がどんどん伸びて行った時期で、将来の社会保障財源に黄信号が灯っていました。
現在の社会保障給付額は約140兆円で税負担(国費)は大凡30%とされていますから、持続可能な社会保障制度としていくためには全国民がそれぞれの負担をしていくことが必要だと感じています。例えば年金のマクロスライド制導入・高額療養費制度・生活保護政策などもその一環上にあり、個々人が勝手に自己の利益に誘導したいと言う考え方では何れ社会保障制度そのものが破綻してしまう多大なリスクが存在します。様々な意見があることは承知していますが、消費に応じた社会保障負担によって制度を存続させるならば、現在の税率では社会を支え切れない時期に差し掛かっていると考えています。



