オフィス鴻

空港運営の民営化

2025年02月21日

既に諸外国では航空管制を含む空港運営業務を民間に委託するコンセッション方式(期間を定めた運営権)が採用されているところもあり、日本でも2013年に施行された「民活空港運営法」により函館・仙台・広島などの地方空港8ヶ所が既に民間へと移行されています。その理由として、国土交通省航空局職員(航空管制業務等)が定員割れとなっていることが明らかになっており、職員の退職理由が従事中は常にストレスにさらされるため30歳前後で退官する方が多く、航空保安大学校(大阪府泉佐野市)での教育キャパシティ増加や、航空管制空域の統廃合だけでは補充し切れない現状があるようです。昨年1月に発生した羽田空港での航空機同士の衝突事故もヒューマンエラーによるものとされています。

一方で、日本には約100ヶ所の民間機が使用する空港がありますが、自衛隊と共同利用する拠点や1日数便しか離発着していない空港もあり、国防上の観点からも収支面以外にも目を向けて再整備する方向にあると思われます。しかし、地方空港のグランドスタッフ(誘導員等の現業職)は年収300万円台と操縦士・客室乗務員に比べて処遇差が大きく、人員不足の主原因ともなっています。例えば、青森空港では冬場の除雪を臨時職員(農業従事者)が担うなど、観光客誘致というプラス面より離島・過疎地での利用者増は期待できません。つまり、一時期1都道府県の1つの「空のローカル線」として整備が進められた空港ですが、約6割が赤字であり行政による補助金頼みの施設維持ももはや限界に来ているのでしょう。民間の力を活用することは1つの選択肢であり、航空会社の系列を超えて協力して路線の維持・充実を目指すといった方向性を検討すべきとの有識者もいます。

国際線ではコードシェア便(1つの運行便に複数の航空会社が相乗りする方式)は数多く運行されており、また不採算路線では閑散期には運休するといったことも普通に行われています。大阪伊丹空港などの成功事例もありますから、知恵を出すことも大切でしょう。

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