オフィス鴻

続・障害年金不支給問題

2025年10月23日

2025年7月8日付けで本コラムで触れた障害年金の申請却下が増えていることに対しての動きがありました。その背景には日本年金機構内部から「新任のセンター長の方針で厳しい審査を命じられた」との証言があり、厚生労働省も事態の把握に調査を開始したとされています。このことが事実を指しているのかは編集人が確証を持つことはできていませんが、少なくとも国会で当時の年金機構理事長は不支給が増加している事実と内部資料の存在を否定していました。しかも後日内部資料の存在を国会議員が入手して厚生労働省に提出したところ、一転して内部資料の存在を肯定したと言います。

さらにマスコミによる報道後には、内密に再判定を行っていた事実も判明したそうです。この判定についても年金機構の判定医が機構側の意を酌んでいるとの報道もありましたが、医師免許をはく奪されたり業務停止リスクのある内容ですから、やはり年金機構側が主導していたと考えるのが妥当だと感じます。もう1つ気になっているのは社労士等の違和感と内部告発がきっかけとなって発覚したものの、日本年金機構の職員へのケアも必要だと思われます。どの組織でも正当な理由があっても上司に逆らうことはその組織での出世を諦め、いずれ退職に追い込まれることを意味しているからです。

今回のケースでは身体障害者への判定は通常通り行われていたようですが、特に増加傾向にある精神障害者について不支給判定が増えていたことは先述の資料からも明らかになっています。現在障害年金受給者の70%程度が身体障害以外という資料もあり、更に厚生労働省でも調査によって不支給が増加した理由は不明とし結論付けていました。しかし本当に年金機構の問題だけが原因とするには客観的証跡に欠ける気がしているのは編集人の意見であり、社会保険労務士が障害年金申請代行をビジネス化してきた結果、不支給が増加していることと関係している可能性も否定できないと感じています。