自衛隊を取り巻く社会環境
2024年08月31日
7月の東京都知事選では50名以上の立候補者があり、某政党が作製したポスターや政見放送の在り方についても様々な課題が露見しました。編集人は東京都出身ですが、現在は隣接県に居住しているため直接投票はできません。しかし、選挙結果云々より立候補者の公約の中に地政学的なリスクから東京・首都圏、ひいては日本を守ることについて触れていたのは一部の候補者に過ぎませんでした。そのような中で、機密情報管理の甘さや不祥事から海上自衛隊の幕僚長の辞任・大量の懲戒処分、新たなハラスメント・裏金問題が浮上するなど、規律の乱れが表面化する事案が増えています。
民間企業でも新卒採用が難しくなる中で、日本の国防を担う自衛官の採用も計画の3割程度と過去最低水準だと言います。政権与党内でも自衛隊の位置づけについては様々な意見があり、これまでにも度々憲法改正の議論が行われてきました。日本国憲法第九条にある戦争の放棄(日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。)を維持するためには、人材への直接・間接的投資が必要だと感じています。
そのため、防衛省では「人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会」が設置されましたが、徴兵制のない日本にとって特別職国家公務員の減少は装備等の高度化が進められているのと同じように処遇面(報酬・官舎・定年制など)の改善が急務であると考えているようです。また、階級によって55~62歳(徐々に引き上げられている)と定年も異なり、退職金・一時金・恩給の支給は相応にあるそうですが、優秀な人材が早い段階から選抜・育成され、常に体制強化・能力向上していく施策が導入されていくだろうと思われます。