船員手帳
2025年11月26日
国土交通省は戦後から利用されてきた船員手帳を、2027年からリニューアルすることを発表しました。この船員手帳とは船員の身分を証明するもので、客船・貨物船・漁船などに乗船する約8万人が保有している謂わば船乗りのパスポートとも言えるものです。その手帳には乗船歴・健康情報等が記載され、海外での一時上陸が可能とされています。この手帳の基になっている国際条約および船員法に定められている内容には、「船員の乗船中その船員手帳を保管しなければならない。」ことが挙げられています。つまり日本国が日本人船員を守るために設けた制度とも言えます。
一般社団法人日本海事代理会のHPには、船員の身分および雇用契約が適正かつ有効に成立したことを証明するものであり、船舶の安全な運航を人的に担保する目的も果たしていると記載されています。また本件とは直接関係ありませんが、海技資格取得(海技士国家試験)には中学校・高等学校卒業後、船員教育機関(海技教育機構、商船系大学、商船高専等)に入り2年以上かけて海技資格を取得する形が一般的だとありました。ただし六級海技士の受験資格は短期間の講習を受講することで可能になるとあり、様々な船舶運航に実務的に関わるチャンスはあるように感じます。
さて船員手帳の変更内容について、国土交通省の発表した内容を追記することにいたします。まずサイズはパスポートより一回り小さいもの(幅約9センチ、長さ約13センチ)、表紙部分に日本政府の紋章「五七の桐」をあしらったとありました。また「海の色に和の要素を考慮した」という理由で藍色が基調となるようです。因みに五七桐紋は中心に7つ、左右に5つの花を立てた桐紋で、五三桐などがある桐紋の中で最も権威が高いとされます。歴史的には天皇家の家紋として用いられていたようで、外国の賓客の接遇のための晩餐会等の招待状や食器にも刻印されていますね。



