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護衛艦の豪輸出

2025年11月19日

オーストラリア海軍向けに、日本政府が次期フリゲート艦を輸出することが正式発表されました。これまで武器輸出に慎重であった日本政府が、三菱重工業社の建造するもがみ型護衛艦をベースとした新型艦をオーストラリアと共同開発・生産を行うとのことです。正式契約は2026年度とされ、総額で1兆円規模となる見込みです。過去にはフィリピンへの警戒管制レーダー(完成品)があり、今回の契約は2件目となります。日本とオーストラリアはインド太平洋地域での安定性を目指す点で共通の艦艇を使用することは、補修拠点の相互利用など運用柔軟性が高まると期待されています。

オーストラリアとは日本にとって準同盟国(特別な戦略的パートナー)と位置付けられており、両国の安全保障に影響を及ぼす緊急事態に際しては相互に協議し対応措置を検討する方針が「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に明記されています。実際に日本とアメリカ・イギリス・オーストラリア・インドとの軍事協力は強化されてきているとされ、今後想定される東・北アジアの安全保障に於いては有事への共同対処と言う形で国際協調が進むんでいます。そのため今回の両国政府間合意は、内閣国家安全保障委員会(NSC)の承認を得たことから今後の防衛協力には大きな意味があるでしょう。

もがみ型護衛艦とは従来の半数の人員(約90名)で運用可能なコンパクトで多機能な任務を担える艦艇(FFM)で、日本全体で深刻な自衛隊員不足を補いつつ統合防衛力をアップする最新装備と言われています。令和6年度の防衛白書でも、オーストラリアは島国かつ自国の領土のみで大陸を成す国家であり、大国から一定の距離を有し国際紛争に直接巻き込まれるリスクが低いという地政学的特徴を有するとあります。防衛相の記者会見で「我が国の高い技術への信頼性、日豪相互運用性の重要性を評価された」とあり、日本技術力の高さと国際協調体制の重要性を再認識させられましたね。