オフィス鴻

賃上げと年収の壁

2025年04月08日

日本では年金制度改革が5年に1回実施されています。しかし、現代社会での年金保障制度が変革期に来ていることは多くの国民が感じていますし、また将来の年金財政のあり方は今から手を打っていかなければ、いずれ若い世代だけでは負担しきれないとも言われています。一般的な常識的視線で考えれば国民基礎年金額は年間約80万円、それに厚生年金を受給しても生活していくのに十分な金額にならないことは「年金定期便」に記載された数字を見れば容易にわかることです。その他にも、高額療養費制度のお陰で月数万円で医療機関に入院できることを考えれば日本の年金・医療制度はいずれ破綻する可能性が十分にあるように思えます。

今回の改正では、厚生年金加入者を増やすという適用拡大が主なテーマですが、そのそも憲法の生存権があるにしても最低限の国民年金(老齢年金)すら支払わない国民の分まで負担することは少し甘すぎるように思えます。世代間格差以前に同世代での所得格差・天下り等の既存権益など解決すべき課題は多くありますが、まずは最低限のベーシック・インカム(基本生活保障)すら支払ってこなかった国民(一部の例外を除く)と、きちんと支払ってきた国民の権利・義務を守ることがごちゃ混ぜに議論されているように思います。そもそも国民の義務の内、納税・勤労は当然のことのように思えますし、その負担分に対する不平等性(割合ではありません)が問題なのだと編集人は思っています。

もちろん生存権では「生活を立て直す」ことを前提とした社会保障制度(生活保護等)があり、これまで税金・社会保険料を納めてこなかった方には残酷な言い方になるかもしれませんが、他者との支給額差があっても当然のように思えます。人それぞれ様々な事情があることは承知していますが、そもそも勤労(労働)せず納税(社会保険料等を含む)もしてこなかった国民の方が、年金生活者より生活保護支援等で多額の不労所得を得ている現実を鑑みれば、今回の法改正は最後のチャンスのように感じます。