オフィス鴻

賃貸物件と高齢者

2025年10月22日

2025年10月から、改正住宅セーフティネット法が施行されたことが国土交通省のHPに掲載されています。この法律の概要は単身世帯の増加、持ち家率の低下等が進む中、今後高齢者・低額所得者・障害者などの住宅確保要配慮者の賃貸住宅への居住ニーズが高まることが見込まれている一方で、賃貸人の中には孤独死や死亡時の残置物処理・家賃滞納等に対して懸念を持っている方が多くいるためとされています。このほかにも生活騒音やゴミ出し等で近隣住民と揉め事を起こしたり室内がゴミ屋敷状態になるなど、単身者特有とは言えないまでも貸す側としてはリスクを感じる可能性が挙げられます。

報道等でも単身高齢者が子ども・親類等の身元保証が無い場合、年金以外に資産があったとしてもなかなか部屋を借りることが出来ないのが現状の様です。つまり高齢者の民間賃貸にあたっての審査は一般的な勤労者と大きく異なり、公営住宅等への入居が難しい場合には非常に困難になることが想定されているのです。実際に民間不動産会社には高齢者が借りられる賃貸物件は殆どなく、専門の物件取扱会社でなければ話しすら聞いてもらえないのが実情だと言われます。もちろん賃貸人を責めることはできませんが、賃借側は高齢になる前に対策を講じておくことが望ましいでしょ。

特に死亡事案が発生した物件では、その情報がSNS等で公開されたり、不動産会社でもその事実について告示する義務があります。賃貸人にとっては単に空室期間が生じるだけでなく、賃貸物件そのものの金銭的価値が低下しますし、仮に管理会社と契約していても警察や保証人と連絡が取れるまでは勝手に入室出来ないと言う問題に直面してしまいます。先の法律で確保される物件数もオーナーの意向がなければ限られてしまうため、今後人口減少が予測される日本であっても外国人への賃貸が増加する可能性もあり物件が増加するとは限りません。つまり行政のサポートにも限界があると感じています。