オフィス鴻

路線バス乗務員の処遇改善

2024年04月20日

物流クライシスは宅配事業・トラック運送事業・タクシー事業での乗務員不足問題だけに留まらず、路線バス業界にも深刻な影響を及ぼしています。最近は月に数回は路線バス減便・路線廃止・廃業がニュースなどで報道され、コロナ禍やオーバーツーリズム、観光地とは違う切り口での対策が必要だと考えています。ちなみに編集人の住む地域(首都圏)でも減便が相次いでいます。その対策として、昨年から行政がオンデマンド交通の実証実験を開始しており、近隣エリアにある最寄り駅等まで1回300円(商業施設等で無料チケットが配布されるので実質無料)で地元のタクシー会社が乗合便を運行していました。

また、バス乗務員の不足は主に給料の安さにあると言いますが、過去には年収1千万円超の地方公務員(都バス)もいて、自治体交通局は殆どが赤字運営だったと聞きます。その後、私鉄系のバス部門は分社化・子会社化での採用へと切り替えられ現在の給与水準に落ち着いたようです。当然、公共性の高い事業ですから一律運賃制や距離併用の値上げなど、地方で適用されている区間・距離制運賃への移行策などで収支がマイナスにならない適正運賃水準(年収は5百万程度に改善)にする検討も行われているようです。

そのほかにも、高齢化により敬老パスの利用者が増加する中で、敬老特別乗車証(敬老パス;所得に応じて年間数千円程度の自己負担あり)専用のIC読み取り端末がバス・鉄道に設置されました。行政のHPには敬老パスを持続可能な制度とするためとありましたが、この端末が設置されるまでは期限切れ、他人のものを使う、正しく提示しないケースも多かったようで一部の高齢者による不正使用に目に余るものがあったのだと思われます。また、混雑時の車椅子乗車(利用者を批判している訳ではないです)などでこれまで以上に乗務員に負担がかかってることや過度なカスハラ、乗客とのトラブル、勤務シフト体系なども賃金以外の面でストレスとなり大きな離職要因だと感じています。