オフィス鴻

道路交通法の限界

2025年01月13日

時速200km/hが出せる高級スポーツ型車に乗り、制限速度を大幅に超過して死亡事故を発生させた事案に対して、運転手に大分地裁は危険運転致傷罪を適用する判決を下しました。法定速度が60km/hの一般道で194km/hで走行していたことに対して、被告側(事故当時者)の弁護士は「輸入車の最高速度が250km/hであり、仮に190km/h以上で走行しても安全性(コントロール)は担保できる」として反論しましたが、いくら少年法が適用されたとしても懲役7年の判決は軽すぎるように編集人は思います。

原告側(被害者)は「これは殺人事件と同じである」として上級審に対して起訴内容の変更を求めた上申書を提出しました。刑事罰として殺人で懲役7年では被害者遺族側は納得できないことは十分考えられますし、民事でも保険加入・約款次第ですが十分な賠償能力を有しているとは考えずらいでしょう。これまで、過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪の適用に関する裁判はいくつも行われていますが、日本の現行法が実情に見合って改定されていないことを示していると思います。昨年、犯罪被害者遺族に対する国家補償額が引き上げられましたが、最終的には金銭での解決水準は低く、加害者側が保護され被害者側が生活困窮に陥る事案がこれまでも多数ありました。

もし、どうしても速度制限以上の走行をしたいのであれば専用サーキットを利用すれば良いのですが、一般道で高速走行を行うこと自体が危険であると言う認識が無ければ、免許取り消し期間を一生としたり免許証を没収(免許取得時に制限速度は学んでいます)するなど、法改正が必要だと感じます。昨年の総選挙で国民民主党が50年間にわたって二重課税や目的外使用を行っていたトリガー条項の凍結解除によるガソリン代負担軽減を掲げていることなども、本来であれば「安全な交通社会を実現するため」との目的が明確にされていない例だと考えています。加害者になってから反省するより、加害者にならない政策が望まれます。