遺族年金の男女差
2025年10月25日
今年6月に年金制度改正法案が可決され、遺族年金などの支給に関して変更がおこなわれたことは記憶に新しいところです。厚生労働省のHPによれば、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」とのことで社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化を図る観点から、働き方や男女の差等に中立的で、ライフスタイルや家族構成の多様化を踏まえた年金制度を構築するとともに、所得再配分の強化や私的年金制度の拡充等により、高齢期における生活の安定を図るためと説明されています。以下、具体的な改正内容に触れていきます。
改正内容の主な点は、➀被用者保険の適用拡大、➁在職老齢年金制度の見直し、③遺族年金の見直し、➃標準報酬月額の引上げとなっています。その中でも今回は③遺族年金の見直しを取り上げてみたいと思います。その理由は男女差が存在していることと、今後見込まれる高齢者年金と生活保護について関連しているからです。これまでの遺族年金給付上の課題は、子どもの有無によって給付期間が異なること、男性配偶者には支給されないことが挙げられます。その他で特筆すべきは死亡分割制度と呼ばれる遺族厚生年金の上乗せ、年収要件(850万円未満)の廃止などだと考えています。
ただしこれまで数多の改正を行ってきた年金制度ですから、一般の方々では複雑で理解が難しい面があることも事実です。また原則申請主義なので制度内容を知らないと年金やその他給付金が支給されないと言うデメリットもあります。その他一部で批判のあった基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライド方式は、一定の条件下で終了させる措置を講じる旨の規程が追加されています。つまり全体の流れは年金制度の維持が目的であり、正しく年金保険料を納めていることが支給要件となる点は変更されていませんから、将来年金は貰えないから未納を続ける国民には諸施策でのペナルティ検討も必要でしょう。



