オフィス鴻

雇用保険料の引き上げ

2025年10月24日

2022年度から雇用保険料の段階的引き上げが始まってから4年度目になりましたが、労働者・企業ともに徐々にその負担が影響を及ぼし始めています。過去には雇用保険(当時の失業保険)財政が潤沢になりすぎたことで資格取得支援に対する補助が行われたり、コロナ禍では雇用調整助成金以外にも特例給付に使われてきた経緯があります。改定前は労働者負担は0.3%、事業主負担は0.6%、、2025年度は労働者負担0.55%、事業主負担0.9%とほぼ2倍に増加しています。具体的には月額報酬を32万円とすれば労働者の手取りは800円減少する計算です。

また雇用保険の受給要件が労働流動性の確保を目的として緩和され、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第47号)により雇用保険法の一部を改正されました。そして育児休業給付の給付率引上げ・育児時短就業給付・「こども金庫」の創設等の改正が行われました。また今年4月から自己都合退職者の待期期間(給付制限期間)が2か月から1か月に短縮されています。その他基本手当日額(支給額)は賃金日額や年齢によって異なりますが、8,635円が上限となっています。月額に直せば21~26万円程度になり、心強い社会保障とも言えますね。

一方で最近の最低賃金引上げ・各種社会保険料増加等は、中小企業経営にとって大きな負担増となっていることは想像に難くありません。大企業が年5%程度の賃金アップを行っているものの中小企業は3~4%程度と差があることも事実で、結果的に労働者が大企業を目指す流れはますます強くなっているようにも感じます。編集人の場合は現役時代に「失われた30年」をまさに体験してきたのですが、現在とは社会情勢が大きく異なっていました。幸いにして物価もデフレ気味で大きく上がっていなかったことを加味しても、今後の社会保障を満足に受け取れるのかと言った漠然とした不安がありましたね。