離島医療とドローン
2025年12月20日
日本には無数の離島があり、国土地理院の調査によれば14,120島あり、そのうち離島振興法(離島振興対策実施地域)に基づく有人離島数は256島だそうです。国土交通省の資料によれば、離島とは立地条件等から➀我が国の領域、排他的経済水域等の保全、②海洋資源の利用、自然環境の保全、➂食料の安定的な供給という重要な役割を担っているとされています。特に排他的経済水域(EEZ)等の面積は約447万平方キロメートルあり、世界で6番目の広さとなっています。日本の島嶼部が単なる離島としてだけではなく、国土保安・安全保障にも大きく関わっていることがわかります。
その上で日本の離島医療を考察してみると、当然ながら絶対的人口数が少ないことから専門医不足・高齢化・交通インフラ等の課題に直面しています。最近では遠隔医療や新技術導入が勧められていて、総合専門医だけでは診断が難しい疾患に関してもリモート診断が普及し始めています。また地域特性に応じた医療サービス提供も大きな課題であり、医療資源(人材・医療機器・薬剤)が限られている離島では最小限の準備で賄われているようです。重症患者等の搬送にはドクターヘリなどが活用されますが、当然ながら救急搬送費用は本土よりもかなり高額になることは明かでしょう。
そのような離島医療課題を解決する新技術として、ドローン物流(医薬品搬送など)技術に注目が集まっています。この技術がさらに高度化していけば、いずれは血液・臓器輸送等においても有用な役割を担うことができます。日本では特にアクセスが困難な島しょ地域での医療改善を推進するために、2023年からレベル4の実証実験が開始されました。ドローン輸送であれば航空機等の離発着に必要な滑走路・ヘリポートなどの設置も簡易的な施設で済みますから、ロジスティクス技術面でも新たな実用段階へと移行してきているのだと感じますね。



