高齢男性の遺伝子
2026年01月18日
編集人が認定エキスパートとして週に数回コメントを投稿しているNewsPicks社に、次のような記事が掲載されていました。題名は「なぜ高齢男性の子どもに遺伝リスクが高まるのか」というもので、編集人が罹患している自己免疫疾患(難病)も遺伝が関係していることからこのコラムで取り上げることにしました。これまで母親の年齢が卵子の質や染色体異常に影響することは広く知られており、出産リスクの評価等において重要な指標とされてきました。一方で、父親の年齢と子どもの健康に相関関係はないとする考え方は、一般的通念だと考えています。しかし近年の研究は、この認識を大きく覆そうとしています。
記事によれば、イギリスの英国のウェルカムサンガー研究所のチームが世界的権威の科学誌であるNature誌に発表した最新の研究では、精子に刻まれた微細な遺伝子変異の痕跡を追跡する手法(アプローチ)によって男性の加齢が子どもの健康に及ぼす影響があることを統計的に裏付けたとありました。研究内容は非常に専門的であり、編集人にはごく一部しか理解できないほど難解なものでした。この研究で明らかになった事実の1つに、精子と血液細胞では変異の蓄積速度が大きく異なるという事実と、血液細胞は精子よりも年間で平均7.6倍も多くの遺伝子変異を蓄積していたことです。
これまで日本では子どもに中々恵まれない夫婦のための法整備(不妊治療の保険適用等)が行われてきましたが、同時に命の選別(先天的に重度障害を持って生まれてくる可能性の高いこどもなど)が行われてきたことは周知の事実です。その他にも既知のドライバー変異(肥満度・喫煙・アルコール摂取量等)とされてきた要因が、実は有意な影響(特徴的な可能性とも言えます)にはなっておらず、男性の加齢と影響がある可能性が30%にも及ぶと言うものでした。この研究が明らかにしたことのは、生殖という営みが持つ複雑さと脆弱性が未だに人類で解明されていないと言う事実でしょう。



