黒潮大蛇行
2025年11月20日
気象庁の発表によれば、日本の太平洋側の海流南向(黒潮大蛇行)が過去最長の約8年で終結したとのことでした。この現象により漁場環境が変化したため、日本の食卓を彩るイカやサンマ等の不漁が続く原因とされていました。幸い今年はサンマの豊漁が伝えられており、日本周辺での水産資源回復が図られてきた結果とも言えます。しかし東アジア周辺海域では日本のEEZ(排他的経済水域)で違法操業する外国籍船の存在が確認され、海を回遊する漁業資源回復に影響を与えています。持続的な資源管理が叫ばれる時代に逆行するような行為は、資源を枯渇させてしまう危険があるでしょう。
さて黒潮大蛇行が長期にわたって続いた原因として取り上げられているのは、黒潮の流れが弱かったこと、豪雨・高温などの異常気象、海水温上昇などが関連していると言われています。実際に本来は南方に生息している魚が北上していると観測されていますので、今後再び黒潮大蛇行が発生することもあり得るそうです。また最新の研究ではこの大蛇行のメカニズムが少しずつ解明されてきており、今後は予測精度が高まると期待されています。特にフィリピン近海から日本の太平洋沿岸にかけて流れて、紀伊半島沖で複雑な動きをする訳ですからAI技術が威力を発揮することでしょう。
NTT社のHPには、NTT宇宙環境エネルギー研究所の取り組みが掲載されています。そこには「現在の最先端の科学技術を駆使したとしても、黒潮大蛇行や黒潮続流の北偏を止めることはできません。」とありました。そしてこの自然現象を科学的に観測するために、衛星IoTセンサーなどを活用して黒潮の流路変動・大気との相互作用を解明する目的で海洋ビッグデータを収集しているそうです。その他にも海洋渦・微生物・生態系・災害予測などの研究を進めているため、将来的には複雑な海洋メカニズムの解明につながるでしょう。



