オフィス鴻

NTT関連法制の改正

2024年05月20日

昨年10月、菅元総理大臣(官房長官)が推進した携帯料金・販売制度の見直しの一環として、楽天モバイルにプラチナバンド(1つの基地局で広域をカバーできる周波数帯)割り当てが発表されました。楽天グループにとっては悲願ともいえるプラチナバンドですが、既に各携帯通信会社は様々な料金プラン(何となく横並びに見えます)を発表しており、海外諸国と比較して割高感のあったユーザーには朗報でしょう。

一方でこれまで空きが少ない貴重な帯域であったプラチナバンドが新たに解放されたことで、大手通信3社(NTT、KDDI,ソフトバンク)との間で「NTT法改正」に関連した議論がSNS上で展開されていると聞きます。SNSは基本的に個人間のやり取りが主であり、競合企業を巻き込んだ形での議論は別の形で行われるものだと思っていて、企業が発信する情報に株価に影響を与える可能性(風説の流布、株価操縦など)がある経営者層が今回の案件に対して直接議論に参加することにはリスクがあるからです。その盲点を利用した形で楽天(三木谷氏)がSNSを利用したのかも知れませんね。

そもそもNTT法改正・廃止の議論はかなり以前からなされており、競合通信企業にとっても他人ごとでは済まされない将来の事業計画を左右する重要な決断を迫られる可能性が高いものです。NTT法では旧電電公社の民営化後も業務内容や経営に関する事項について一定の制限や国による関与が規定されていて、政府の株式所有割合、外国人の株式取得の制限、通信・通話サービスの全国一律提供義務、その他総務省に認可事項も多く公共性・公益性を保つようになっています。固定電話事業は現在は赤字事業で社会的信用度というメリットはありますが、過去の加入権返還問題など課題も多く、経営自由度を高める法改正検討がされています。国の重要インフラである通信は国際競争力向上・経済安全保障の観点から容易でない点も多く、政府は難しい判断をし迫られているようです。公共性と言う面では放送業界でのNHKも様々な課題を抱えており、社会の進化に合わせた規制緩和等の一縮図ともいえるでしょう。