オフィス鴻

SNSと公職選挙法

2025年07月31日

今年の兵庫県知事出直し選挙では様々な問題が指摘され、結局は百条委員会の方がSNSによる根拠が無いと言われている誹謗中傷からお亡くなりになったのはまだ記憶に新しいところです。政治・選挙活動にお金が必要であり、簡単な手段としてSNSの利用が拡がってきました。実際に日本の参議院選挙でも暴露系YouTuberのガーシー氏がNHK党(当時)から立候補して当選を果たしましたが、その後名誉棄損罪等で警察に逮捕されています。SNS自体は多くの方の生活の一部になっていますので適切な使用方法を守る限りでは公職選挙法に違反する行為ではないと考えられますが、正直なところ法整備がSNSに追い付いていないというのが実情でしょう。

最近の選挙では偽情報(フェイク)を拡散するビジネスが誕生していると日本経済新聞の記事に掲載されていました。具体的には動画の切り抜き編集・誹謗中傷などを有料で引き受けるという類のもので、報道番組でも指摘されているように発信側に都合の良い部分だけを取り上げることで、全体の主旨がゆがんだ形で拡散されるといった弊害が指摘されています。実際に迷惑系に分類される動画配信・投げ銭で数千万円の収入を得る者もいて、国際的にも反対勢力(国家の場合もあります)が資金提供するなど新たな選挙の枠組みが再考される時期に来ているようです。

実際に欧州議会選挙でキプロスから立候補したYouTuberが議員に当選しており、日本の公職選挙法では演説・ビラ等に一定の制限が設けられています。SNS利用については編集人は異論はありませんが、何事にも正しい使い方・善意が基となっておりSNSの負の側面が垣間見られます。その背景としてアメリカの社会学者であるマイケル・ゴールドハーバー氏「アテンションエコノミー(関心経済・注意経済)」といわれる人々の関心や注目の度合いが経済的価値を持ち、まるで貨幣のように交換材として機能する状況・概念があります。若い世代が政治に興味を持つことは歓迎ですが結局は使い方次第でしょう。