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TPPへの加盟申請

2024年05月14日

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は、2016年に日本、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム、アメリカ(2017年に脱離)11カ国間での例外品目のない自由貿易・投資・サービス・政府調達などの分野で協力関係を築くことで合意して、2018年に発足しました。また昨年はイギリスが新たにこの枠組みに加わることが決まりましたが、それ以前の2020年には中国および台湾が正式に加盟申請しています。

TPPへの加入を申請している国や地域についての日本の見解は「市場アクセスだけではなく、電子商取引や知的財産、国有企業など、幅広い面で高いレベルを完全に満たすことができる」ことが条件だとして、慎重な姿勢を示しています。また、中国と台湾の加盟は、現加盟国間での中台関係に関する思惑の相違からTPPが分断されることを回避する必要があり、加盟が認められないだろうとも言われています。しかし、これまで中国が行ってきた貿易制限(日本産水産物の全面禁輸)などが自国市場経済を武器にルールを守らない国家であるとの認識がある反面、中国市場への輸出を増加させたい国もあり、アメリカ脱退後にTPP加盟国に対して中国が外交政策面での地域緊張を引き起こさせるために加盟申請したとの見方もあるようです。

なお、4年程で国民投票によりEU(28加盟国)から離脱したイギリスのTPP加盟は、移民問題を含めて合意前提のEU運営への不満(イギリスの権限が相対的に小さい)から東南アジア市場への進出が目的と言われています。イギリスでも足元ではロンドンでの住宅賃貸価格の高騰(サッチャー政権による1980年の公営住宅政策が大きな原因とも言われます)により、貧困層やホームレスの急増、強盗と同じような集団万引き(日本の闇ビジネスと似ています)が社会問題となっているそうです。また、食料品を買うことが出来ないためフードバンクに頼らざるを得ない家庭や、ロンドンの小学生が住む家がなくホームレス化するケースも増加していると報道されています。