オフィス鴻

優しさの恩人(4)

2023年02月20日

優しさの恩人が経営する企業の会議室に、大きく「夢」と一文字だけ書かれた立派な額が飾られています。それを拝見するたびに思い出すのは、一生のうち3回だけ与えられた「ある夢への挑戦権」のことでした。当時の夢と現在の夢は全く異なりますが、「夢」という言葉には人を奮い立たせる力があると感じています。また、退職にあたってこれまでのご厚意に感謝の意をお伝えしたいと思っています。

ところで、編集人が高校を卒業した頃は全世界が航空不況とよばれていた時期で、職業操縦士(コマーシャルライセンス)になるには18~20歳の間に航空大学校への入学・卒業が必須条件(自社養成制度自体がなかった)でした。さらに卒業生の2割ほどしか航空会社に就職できない状況で、卒業後は警察官等への職業選択も多かったと聞きます。また、自衛隊の航空学生(現在は防衛大学校から進むルートもあります)も同様で、編集人は某国立大学に仮面在籍しながら3回挑戦しましたが、いずれも適性試験(2次・3次の身体能力検査)で不合格となり「国際線操縦士・戦闘機パイロットになる夢」は叶うことなく終わりました。

現在の職業操縦士(パイロット)は当時と比べて採用数や採用形態も格段に増え、CAと同じ保安要員としての役割も併せ持ちます。また現在の2名乗務体勢を含めて今後はAIの進化により多くの変化が起こることが予測されています。当時は大きな挫折感に打ちのめされていましたが、図らずとも仮面学生であったことが幸いして、経営学部で学んだことが役に立ち、いろいろなキャリアを積み重ねる幸運に恵まれながら現在に至っています。これも現在の疾患を鑑みれば、中国の哲学書淮南子の故事が由来の「人間万事塞翁が馬」という、世の中に起こることはすべて幸か不幸か予測がつかないという教えの1つとして前向きに解釈できるのかもかも知れませんね。