オフィス鴻

免疫グロブリンの供給不足

2024年02月04日

最近、ACのコマーシャルで骨髄ドナー登録者の減少、がん検診受診の勧めなど、病気に関連したものを見かけるようになりました。そのような中で厚生労働省の専門部会が血液製剤である免疫グロブリン製剤が不足しているとして、輸入目標量を昨年度の1.4倍に変更することを了承したそうです。編集人も原則年4回(投与効果は約3ヶ月間)の免疫グロブリン大量静注療法(点滴)を受けていますが、5日間連続で投与する必要があります。日本赤十字社のHPによれば、日本では血漿成分献血と献血で提供された血液のうち、半分以上が免疫グロブリン製剤の原料として使用されているそうです。一方で、献血者数・献血量共に2000年頃から減少傾向が続いており、在庫の逼迫により国内メーカーの製造能力だけでは供給量が不足するため今回の決定に至ったそうです。

特に最近は医学研究が進み、免疫グロブリン製剤が神経難病(筋無力症、川崎病、原発性免疫不全症、自己免疫性疾患など)や新型コロナに効果があることが確認されて以降、需要が急増しているそうです。特に神経難病では他に治療方法が無い疾患もあり、治療1回あたりの投与で約1千人分の血液成分が必要だと主治医から聞いています。また、日本では投与によって重度感染症に罹患した例はないのですが、リスクはゼロではありませんので同意書が必要です。特に血液浄化療法(血漿交換)を行っていると免疫力が急激に落ちること、他疾患(悪性腫瘍等)との合併症による重症化リスクが高いことなどを考慮しても、免疫グロブリン製剤によって命を救われている患者さんが多くいることも事実です。

このほかにも、ジェネリック薬品の製造会社の不正行為が摘発されたり、新型コロナとインフルエンザが同時流行したことで、一部の医薬品は現在でも供給不足が続いています。例えば、解熱鎮痛剤やのどの薬など、みんさんのご自宅に病院で処方された医薬品は残ってないでしょうか?適正な薬価改定(ジェネリック医薬品製造はは不採算が殆どだそうです)により安定供給が滞らないよう、無駄な医療費を使わないことも必要だと思います。