藤堂高虎からの学び
2025年07月05日
これまで幾つかの藤堂高虎の名言を編集人なりに解釈してきました。その過程で気付いたことは人間とはなんと小さな存在でひねくれものであるのかと言うことです。つまりこの遺訓200条とは現代のビジネスパーソンにも当てはまる知恵がたくさん詰まったものであり、1664年(今から360年前)に既に現代社会へ繋がる警鐘を鳴らしていたという点でしょう。実際には「武士の覚悟」「家来を使う時の心掛け」「主君への仕え方」「家老の心構え」の4章(編)で構成されており、戦国時代特有の知恵から現代まで通じる人間関係のあり方など多岐にわたっています。まさに現代のビジネスマンに役だつ内容が凝縮されていると考えています。
藤堂高虎という戦国時代を生き抜いた武将は「築城の名人」としても知られています。現在の伊賀上野城は戦前に再建された建物ですが、徳川家康が下級武士であった高虎を「築城の名人」として重用したことからも、家康が適材適所の重要性と人を見る眼があったのだと理解しています。編集人も経営者の考え方が徐々にぶれて企業が上手く回らないことを目の当りにしてきました。編集人は我慢できない性分が災いして全く身に覚えのない疑いを押し付けられて退職したのですが、今にして思えば良い経験(30歳代半ばで役員に抜擢して頂いたこと)を積めたとも思う一方で、転職後の大きな糧になっていたのだとつくづく感じます。
この遺訓には真面目さと相反するようなものも含まれています。いくつか紹介すると「窮屈なところを好み、楽なところを嫌うべし(編集人訳;安穏と生きていれば立派な仕事はできない)」「囲碁や将棋にアドバイスしてはならない(真剣勝負には他人が口を出すべきではない)「妻の自慢をしてはならない(そのような時代だったのでしょう)」といったものがあります。やはり高虎ほどの人間味に溢れた人材ですら、人生の奥深さに悩んだ時期があったのかも知れませんね。時代は違えども自分の考え・意見をしっかり持つことの重要性を感じた編集人です。